コインチェックのNEMハッキング事件から仮想通貨交換業者への厳しいチェックが続いています。
そして、先日、金融庁が「仮想通貨交換業者等の検査・モニタリングの中間とりまとめ」を発表しました。
金融庁、仮想通貨交換業者等の検査・モニタリングの中間とりまとめ

8月10日に金融庁により「仮想通貨交換業者等の検査・モニタリングの中間とりまとめ」が発表されました。
中間とりまとめポイント
上の「仮想通貨交換業者等の検査・モニタリングの中間とりまとめ」より文章が短く、図が多めです。
https://www.fsa.go.jp/news/30/virtual_currency/20180810-1.pdf
検査等で把握された実態
金融庁の「仮想通貨交換業者等の検査・モニタリング 中間とりまとめ」が公表されました。
信じられない管理体制の取引所があるようです。
どこだよダミートレードしてた取引所は😡https://t.co/QiHMP0DYQo pic.twitter.com/whbNjeO8hS
— TO_EESi-G3👼Rippy:仮想通貨 (@TO30447473) 2018年8月10日
まだ新しく整備されていないので仕方ないという点もありますが、上ツイートのような指摘箇所である「ダミートレード」大きな問題点ですね。
取り扱う暗号資産のリスク評価をしていない
暗号資産の利便性や収益性のみが検討されている反面、取扱い暗号資産ごとにセキュリティやマネロン・テロ資金供与等のリスクを評価した上で、リスクに応じた内部管理態勢の整備を行っていないと記載されています。
コインチェックハッキング事件があり内部管理体制に関しては特に厳しくなっているという印象です。
自社が発行する暗号資産の不適切な販売
暗号資産を販売するに際して、利用者の年齢、取引経験、資力等を考慮した取引限度
額の設定や販売・勧誘を開始する基準を定めていないと記載されています。
価格がこれだけ急変動するとリスクも高いことから年齢やレバレッジ制限、資産、投資経験等の基準を定めようという事は日本仮想通貨交換協会で考えられているとされていました。
しかし、金融庁から発案があったのであろうと予測できます。
ちなみに交換業者の1つが
役職員が数十回にわたり高値の買い注文を対当させることによって暗号資産の価格を不当に釣り上げるなど恣意的な価格操作が行われている。
との記載がありましたが、これは大きな問題だと思います。
利用者が急増し、内部管理態勢の整備が追いつかない中、積極的な広告宣伝を継続
・テレビ CM において、有名人が特定の暗号資産を連呼するなど、利用者の購買意欲を煽る一方で、暗号資産のリスクに関する表示は数秒に留まっている。
・ 利用者が検証できない投資収益の表示や特別割引期間の設定などを記載した広告を行っている。
・ 取引の内容やリスクの適切な開示が行われているかを事前に確認するなどの広告内容の審査等が行われていない。
このように記載されています。
広告のリスクに対する注意が足りていないことが挙げられています。
その他
・法令等のミニマムスタンダードにも達していない内部管理
・多額取引について取引時確認を行っていないなど、マネロン・テロ資金供与対策ができていない
・分別管理ができておらず、必要な帳簿が作成されていない
・利用者資産の流用など、内部牽制が機能していない
・内部監査が実施されていない
・内部監査計画を策定しているが、リスク評価に基づくものとなっていない
・システムの開発はしているものの、セキュリティ人材が不足している
・苦情対応や取引の適正が十分に確保されていないなど、利用者保護が図られていない
・システムや暗号資産管理などを委託した外部委託先の管理ができていない
・内部管理よりも広告宣伝に多額の支出を行うなど、利益を優先した経営姿勢
・代表取締役に権限が集中するなど、取締役及び監査役の牽制機能が発揮されていない
・技術には詳しくても金融業に対する知識を欠いた経営者が多く、役職員にも金融業としてのリスク管理に知識を有する人材が不足
・最低限の内部管理も行っていないなど、利用者保護の意識や遵法精神が低い
・経営情報や財務情報の開示に消極的
最後に
今回の中間とりまとめのレポートでは、仮想通貨交換業者のずさんな管理体制が指摘されたものとなりました。
もっとも仮想通貨は2017年に法律で通貨として認められたばかり。
それから成長しすぎて追いつかなかった感もありますね。
そして、昨年~年初のバブルは、誰もが体験したことがない人類史上最高のバブルであったため気が緩んだのも事実です。
また、日本の取引所は、米国の取引所ように州レベルの規制当局を納得させるために顧客保護やコンプライアンス(法令や規則をよく守ること)強化のために数億円をかけたりする必要もなく、法整備も整っていないまま進んでいたこともあります。
https://www.fsa.go.jp/news/30/virtual_currency/20180810-1.pdf
仮想通貨交換業者はバブルに載って大きく業績を挙げました。日本ではベンチャー企業であったコインチェックがNEM保証を全額を行い、驚きを与えました。一部では内部資金潤沢な数年続いている大企業でないと返済は難しいと言われていましたね。
日本だけではなく、海外仮想通貨取引所を運営しているBINANCEは時価総額は今や1.4兆円を超えています。ちなみに、この会社の取引所が設立されたのは2017年7月です。
BINANCEの純利益も1100億円ほどでした。
これは日本で言えば大和グループや楽天と同じくらいの純利益です。
人類史上最高のバブルがあったとはいえ、たった1年で時価総額1兆円以上の会社ができるくらい仮想通貨市場には夢があります。
そのためか、現状では未だに仮想通貨交換業者の登録待ちは数百社になると報道されています。
今回の中間とりまとめは非常に厳しい条件であり、登録待ちの会社に対する牽制もあるのかと思われます。
https://www.fsa.go.jp/news/30/virtual_currency/20180810-1.pdf
実際、今後の新規登録申請業者に対して、現場での検証や役員のヒアリングなどビジネスプランの聴取や内部管理体制の整備を更に強化していく模様です。
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