かにたまです。
近年、デジタル化が進むうえで話題になっているのは「デジタル資産」に対する相続税です。
仮想通貨投資を行う上で、ちょっとした不注意で家族などの相続人を不幸にすることがあります。
そうならないための対策を記事にします。
良かったらご覧ください。
デジタル資産の相続税の問題とは?
デジタル資産とは、ネット上で管理する資産のことです。
例えば、株式、ネット預金口座、投資信託、保険、FX、電子マネー等があります。
仮想通貨も資金決済法の第2条5項で財産的価値があることから「デジタル資産」に該当します。
仮にデジタル資産の所持者が死亡すると、これらの資産を受け継ぐ遺族にかかる相続税が「デジタル相続税」と言われています。
近年、問題になっているのは、故人が管理していたパスワードがわからず資産が凍結状態になることです。
それだけならまだ良いのですが、その残したデジタル資産にも相続税という名の税金がかかり、残された遺族である家族に迷惑がかかってしまうという点です。
資産が少額の場合は相続税の心配はないが・・・
そもそも相続税がかかるのは、3,000万円+相続人の数×600万円の資産を持っている人のみです。
それ以下はかからないので心配する必要はないでしょう。
ただ、少額だから大丈夫だなと思っている人も仮想通貨の場合は、ビットコインに代表されるように年月を重ねると数万円が億単位に膨れ上がる可能性も十分にあります。
よって、知っておいて損はしないです。
仮想通貨の相続税はいくらかかる?
では、それ以上の資産を持ち、相続税がかかるとすると一体どれくらいかかるのでしょうか?
国税庁の相続税の税率をまとめると以下になります。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
この速算表で計算した法定相続人ごとの税額を合計したものが相続税の総額になります。
なお、平成26年12月31日以前に相続が開始した場合の相続税の税率は上記と異なります。
ただし、デジタル資産の相続税は、資産の額や受取人の人数、相続割合などで変わってきます。
例えば、デジタル資産の合計が1億4,800万円。
また、妻1人、子供2人(長男、長女)がいて、相続割合が妻50%、長女20%、長男30%の場合、それぞれが支払う相続税はかわってきます。
結果はこうなります。
妻・・・受取額7,400万円、納税額0円
子(長男)・・・受取額4,440万円、納税額435万
子(長女)・・・受取額2,960万円、納税額290万
計算方法は、東京税理士会の計算方法の例をご覧ください。
死亡で仮想通貨が引き出せなくなった例
以前、カナダ最大の仮想通貨交換業者である「クアドリガCX」の創業者が急死し、仮想通貨を管理していた暗号を知っていたのが創業者1人だったことから、11万人以上の顧客が日本円で約200億円相当の資産を引き出せない状況となりました。
HPを見ると、創業者のジェラルド・コットンCEOはクローン病という難病持ちで去年12月に訪問先のインドで病気のため30歳で急死したということです。
クアドリガCXでは、コールドウォレットにビットコイン等が保管されており、それを引き出せる状態にするための暗号を知っていたのがコットン氏だけで、死亡したことで暗号がわからず、専門家もアクセスできなかったということです。
このため、現在、11万5000人の顧客は1億9000万ドル(日本円で約200億円)相当の顧客の資産が引き出せない状況となっています。
クアドリガCX側は、破産手続きの開始をカナダの裁判所に申請、妻はコットン氏の死亡診断書を裁判所に提出しましたが、顧客の資金が戻ってくる保証はなく、ネット上では不信感が広がっています。
今回の事件の問題点は言うまでもなく、暗号の管理者が1人であり、複数で管理するマルチシグに対応しておらずその手間を惜しんだだからです。
現実世界に置き換えてみましょう。
例えば、家を複数人で開ける仕組みを導入するのは工事費がかかります。
また、マルチ・シグネチャーはビットコインを送付するために複数の署名が必要になります。
つまり、家の鍵を空けるのに複数人で開ける感覚と同じで1人ならすぐ開くのに複数人が来るまで家の中に入れないことと同じで開錠が面倒で時間がかかります。
このような手間を惜しんだために採用しなかったのでしょう。
それが本人の死亡により誰もパスワードを知らずに凍結状態になってしまったということです。
パスワードがわからなくても相続税がかかる
ちなみに日本ではデジタル資産のパスワードが分からなくても相続税の課税対象となります。
すなわち、もし、あなたが残したデジタル資産のパスワード等がわからずにウォレット開錠ができないと家族等の相続人に税金がかかり、迷惑がかかる可能性があるということです。
対策を立ててみよう!
ちなみに金融庁認可の国内取引所に置いていれば、問い合わせをして資料を送ることで相続手続きが可能になります。
▲コインチェックの例です。
仮想通貨取引を行っていることを家族に伝える
僕が現時点で行っている対策として母には僕が死んだら僕の住んでいる自宅の部屋等にあるウォレットを探し出して第三者のわかる人に開けてもらって資金を引き出して下さい、と伝えてあります。
自分は家族構成が祖母、母、弟で共に賢いので、これだけ伝えれば万が一のことがあっても大丈夫だと思っています。
なお、この事を母に伝えたら「親よりはやく死ぬのは親不孝」みたいなことを言われましたw
生存時に少しずつ資産を渡していく
生存贈与、すなわち年間110万円までは非課税で渡すことができます。
よって、相続税を削減できます。
税負担を重くしないうちに生前前に贈与するのも手です。
遺言書などに手順を書き記す
遺言書やメモ等に死亡後どのようにするのか書き記しておくと良いでしょう。
あなたが元気なうちに、あらかじめ紙にデジタル資産の内容や良く使う取引所やウォレット等のアカウント、パスワードなどを記録し、相続人のために分かりやすくしておくことが必要になるということです。
最後に
こういう対策は、面倒なために疎かになりがちです。
なお、2018年の楽天リサーチの調査によると、死んだ後の相続などの問題を行う’’終活’’を行っているのは全人口の1割未満ということです。

仮想通貨の資産はまだまだ市場規模が小さいだけに、今後、資産が膨れ上がる可能性があります。対策はしておくべきです。
確かに仮想通貨世代はミレニアム世代が多く、多くの方が親よりも先に死ぬということはなかなかないとは思いますが、人生なにがあるかわかりません。
それこそ、負の遺産まで残したらガチで親不孝になります。
相当早くても仮想通貨の相続税の対策をするに越したことはないということで記事にしました。
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