先日、Facebookの仮想通貨であるLibra(リブラ)のホワイトペーパーが正式に発表され、2020年前半には運用開始であることがわかりました。
また、LibraにはVisaやマスターカード、Paypal、ウーバーなど世界の名だたる企業が参加していることがわかりました。
Facebookの仮想通貨リブラ、ホワイトペーパー公開!
Facebookの仮想通貨の libra(リベラ)のホワイトペーパーはこちら
日本語で読めるのはありがたいですね#仮想通貨 #Facebook #Libra facebook #Libra
— かにたま@仮想通貨ブログ (@kanitama7777777) June 18, 2019
Facebookの仮想通貨であるリブラのホワイトペーパーは「こちら」
日本語で読むことが可能です。
2020年前半には運用開始予定との事です。
リブラの公式サイトは「こちら」
なぜFacebookは仮想通貨をつくったのか?
どうしてFacebookは電子マネーやAmazonポイントのようなものではなく、わざわざ仮想通貨をつくったのでしょうか?

インターネットといえば電子マネーの時代に、なぜFacebookがわざわざ仮想通貨をつくったのか不思議に思いませんか?
先に結論から述べると、以下のような理由があります。
・数十億人に対する金融インフラの提供
・通貨のしくみを変える
・貧困が削減され、世界中の人の生活が向上する
では、その理由を見ていきましょう。
リブラの公式ページを見ると以下のように記載されています。
Libraのミッションは数十億人のエンパワーメントにつながる、シンプルでグローバルな通貨と金融インフラを提供することです。
通貨のしくみを変える。世界経済を革新する。その結果、世界中の人の生活が向上する。
日本では銀行口座を持つことは当たり前になっていますが、銀行口座がない人は未だに世界人口の31%ほどを占めています。
彼らはスマホは持っているにもかかわらず、銀行口座のようなものがないため経済活動に参加できていません。
そこで、Facebookのリベラはスマホで使えるデジタルウォレット(財布)を導入し、彼らに金融インフラを提供していくということです。
金融インフラとは、ないと非常に不便であるというお金に関する設備や基盤のことを指します。
そして、金融サービスを利用しても国際的な送金には時間(3~5日営業日)がかかり、国際間の送金手数料の平均は7%ほどと非常に高いのも現状です。
キャッシュレス化は進んでいるものの世界の85%は現金払いになっています。
しかし、現金は持ち運びには難点もあり、盗難されることも多いのです。
実際、米国の小売だけでも年間400億ドルもの現金が盗難されています。
また貧困者には、現金のコスト負担は大きすぎます。
銀行に口座を持たない人は、現金取引で月4ドルほど割高なコストを支払うことになります。

↑管理などでも現金は非常にコストがかかります。
だからこそ日本でもキャッシュレス化の動きが進んでいるというわけです。
そしてデジタル化することで発展途上国に3.7兆ドルをもたらし、9500万人の雇用を生み出すことを創出することができます。
人々の収益は20%増加し、貧困が22%削減できます。
デジタル化なら電子マネーでいいじゃないかと思うかもしれませんが、仮想通貨の分散化システムであれば中間業者が不要になり、手数料が削減され、安く済みます。

手数料ビジネスは最強と言われています。仮想通貨で中間搾取を無くすことで、その分、私達は大きな恩恵を受けることができるわけです。

日本では仮想通貨というと、価格変動が激しい投機通貨というイメージの方が多いかもしれません。
しかし、元祖仮想通貨であるビットコインもこのリベラのような目的でつくられており、価値を高めています。
Facebookのリベラはどんな仮想通貨?特徴について
Facebookの仮想通貨リベラの主な特徴を以下に挙げます。
・スマホ決済
・管理、運営、パートナー会社の存在
・ブロックチェーンの使用
・ステーブルコイン(安定通貨)
・様々な用途
・BFT
他にもMove言語を利用しているなどがあります。
詳細はホワイトペーパー(「こちら」)をご覧ください。
スマホ決済
前述したようにリベラによるスマホ決済が可能になります。
ホワイトペーパーによると以下のように記載されており、簡単に操作できるようになるとのこと
モバイルデバイスでの金融資産確保は、シンプルかつ直感的でなければなりません。
スマホ決済ということでアプリを連想しましたが、そのようなものになるのかはまだ不明です。

現状の仮想通貨の扱いは面倒で送金ミスすると戻らないなどがありますが、そういうのも解決していると嬉しいですね。
管理、運営、創立メンバー
Facebookの仮想通貨には管理・運営元があります。
それはスイスのジュネーブに設立された発行団体「リブラ協会」です。
独立・非営利・メンバー制の組織となっており、管理、運営を行います。
また創立メンバーも発表され、ウォレット(仮想通貨を入れる財布)を提供するFacebookの子会社である「カリブラ」、カード会社である「ビザ」、「マスターカード」、オンライン決済の「ペイパル」、配車サービスの「ウーバー」など27社とパートナー提携しています。
詳細は以下で、この27社が創業メンバーとなる組織になります。
以下でリベラが使用できるようになるのでしょう。
- 決済: Mastercard、PayPal、PayU (Naspers’ fintech arm)、Stripe、Visa
- テクノロジー・マーケットプレイス: Booking Holdings、eBay、Facebook/Calibra、Farfetch、Lyft、 Mercado Pago、Spotify AB、Uber Technologies, Inc.
- 電気通信:Iliad、Vodafone Group
- ブロックチェーン:Anchorage、Bison Trails、Coinbase、Inc.、Xapo Holdings Limited
- ベンチャーキャピタル: Andreessen Horowitz、Breakthrough Initiatives、Ribbit Capital、 Thrive Capital、Union Square Ventures
- 非営利組織、多国間組織、学術機関: Creative Destruction Lab、Kiva、Mercy Corps、Women’s World Banking
ホワイトペーパーによると、2020年前半の運用開始前には100社前後に増えるとの事です。
ブロックチェーンの使用
電子マネーとの違いは、リベラの仮想通貨にはブロックチェーンが使われている点です。
Libra 通貨の基盤は「Libraブロックチェーン」です。

ブロックチェーンは取引データに間違いがないか世界中の参加者が確認でき、改ざんすることが難しいため価値を上げてきたビットコイン等で使用されている技術です。
なぜ電子マネーを使わずに仮想通貨を使うかというと、このように誰でも確認できるために間違いのない正しい取引ができるからという理由もあります。
ステーブルコイン
リベラは仮想通貨ですが、ビットコインとは違い価格は安定しているステーブルコインであることが特徴です。

ビットコインはご存知のかもしれませんが、2017年には2000%以上上昇し、2018年には80%以上も落ちた通貨としては非常に不安定なものです。

リベラには「Libraリザーブ」と呼ばれる実在の資産のリザーブによる十分な裏付けがあります。
リベラは発行額に応じて米ドル等の主要な法定通貨や、短期国債などを担保にして100%の準備金を差し出すことで価値の裏付けを明確にしています。

つまり、僕達が普段使っている円などの法定通貨同様にリベラを使うことができます。

ビットコイン等とは違い、昨日は30万円相当だったものが次の日には25万円などになることがないので安心ですね。
リベラ協会の運営資金のため参加企業は最低でも1千万ドル(約11億円)を出資することになります。
つまり、2020年の開始時には、100社以上になりますから最低でも1100億円規模になります。
様々な用途
以下のようなが用途あります。
・リベラを使って他のユーザーへの送金
・パートナー会社でのサービスに利用できる
・自国通貨に交換することができる
BFT
リベラはビザンチン・フォールト・トレランス(BFT)というアルゴリズムが採用されています。
これは分散型ネットワークシステムで不具合があっても(悪用するメンバーがいても)安全を保障するための機能です。

分散型ネットワークとは、情報を一か所に保存するのではなく、分散したP2Pネットワークに保存するタイプのネットワークです。
ビットコインもこの仕組みです。

ビザンチン・フォールト・トレランス(BFT)は、ビサンチン将軍問題に対応した一部のノード(最大でネットワークの3分の1)で不正や不具合が起きても正常に機能するようにデザインされています。
課題
Libraのブロックチェーンは、誰でも確認できるために取引に間違いがないことが証明できる一方で、誰でも確認できるために個人情報のプライバシーの問題もあります。
またFacebookはアカウント乗っ取りや、個人情報流出など問題を抱えています。
また不正アカウントによるマネロンの恐れもありますし、仮想通貨を利用できるのであればより一掃の個人情報の管理強化が必要になってくるでしょう。

日本の仮想通貨取引所のように本人確認は必須でしょうね。

米国議員の中には、リベラを不安視し、開発を中止する声もあがっています。

複数通貨を担保にしていますので、証券化していると言われても仕方ない感じもしますね。
その一方で世界的な企業が仮想通貨を始めたことで、これからの仮想通貨の広がりを恐れ始めたとも感じています。
ビットコイン等の仮想通貨が法定通貨に対してどんどん値上がりすることは、逆にいえば国家通貨の信頼が薄れていることを意味します。
そして、国の規模を超えてしまうとその国は威厳を失い、成立しなくなります。
そのような国は強制的に仮想通貨を排除、もしくは禁止にするか、ベネズエラのようにいずれ国の仮想通貨を発行していくかと思われます。
仮想通貨リベラの可能性
Facebookの仮想通貨リベラだけではなく、ビットコイン等の仮想通貨には確かに個人情報の問題やマネロンなどの懸念点があります。
しかし、それは法定通貨でも同じです。
払った払っていないなどの問題も起こっています。
また、現金は手渡しなどをすれば記録が残りません。
そして、現在、様々な中間業者があり、高い手数料を払っても利用している状態になっています。
僕達は、もはや中間業者に頼らなくても技術の力でより正しく素早い取引ができる時代が来ていることを知るべきです。
そんな中で多くのユーザーが使うかもしれないリブラはいい機会になると思います。
以下のリベラの理念にも書かれている未来が起こりえる可能性は十分にあると思います。
「通貨のしくみを変える。世界経済を革新する。その結果、世界中の人の生活が向上する。」

過去には情報流出などの問題が起こったFacebook。
しかし、なぜFacebookが平成時代を制し、GAFAと呼ばれるほどに巨大企業に成長し、未だに高い時価総額を持っているのか考えてみて下さい。
人々の幸せを本当に願っているからこそ信頼されているわけです。
僕はFacebookのCEOであるマイクザッカーバークさんの仮想通貨で人々を幸せにしたいという思いを感じます。
そうでなければ仮想通貨を採用はしなかったでしょう。
日本は豊かですが、世界の途上国ではまともな金融インフラを持たず、高い手数料をとられ、明日のご飯さえ確保できない人達が存在しています。
仮想通貨の日常化
個人的にいいなと思ったのは、リベラの提携企業のサービスを使えば日常生活過ごすにほぼ困ることはないなという点です。
以前から述べているようにFacebookは月間24億人のアクティブユーザーがいるために、そのほんの一部でもリベラを利用することになれば非常に大きなことだなと感じています。
利便性を感じればスマホ同様に普通に浸透すると思います。
現在、仮想通貨取引は米国など主に先進国で行われており、本来、必要である途上国では、まだそれほど広がっていないのが現状です。
しかし、世界的な企業であるFacebookのもと、スマホを持っている途上国で一気に仮想通貨が浸透する可能性があります。
世界的に有名な企業が仮想通貨を取り扱うことで、仮想通貨がより身近になるものかと思われます。
5年後くらいには一般人が普通に仮想通貨を利用している未来が来るかもしれません。

Facebookの仮想通貨だけでも生活できそうな独自の経済圏を生み出す可能性はあります!
送金
世界中の人と繋がることができるFacebook。
送金面の利便性が非常に大きいなと思っています。
例えば、素晴らしいコンテンツを提供した世界中の人にあなたがどこにいようとも寄付することができますよね。
また、地震などの災害が起こった国家などに支援する際に赤十字などを通さず、そのままFacebookのリベラで送金することができます。
リベラ経由ならすぐに送金できますし、自国通貨に換金できるのであれば、どの国であっても支援が可能になります。
他企業の参入
GAFAの一角であるFacebookが仮想通貨を発行したことは非常に大きいです。
これを受けて多くの企業が参入してくるでしょう。

世界的大企業によるステーブルコインは始まりであり、僕は最終的には国のステーブルコインが一般化する時代が来ると思っています。
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